ブランドEC成長を加速させる「140のチェック項目解説」 ①ブランディング設計

ブランドEC ECマーケティング

本コラムでは、株式会社久のブランドEC成長支援室が開発・整理した、ECビジネスおよびECマーケティングにおける変革と成長を実現するための『5つの戦略と7つの戦術』フレームワークと連動したチェック項目を提示しながら、活用ポイントを解説していきます。
戦略(Strategy)は目的達成のための大枠の方針・方向性を示し、通常は1年〜3年先を見据えた項目になります。一方、戦術(Tactics)は戦略を実現するための具体的な手段であり、3か月〜1年程度で実行可能な項目を指します。


【戦略】①ブランディング設計

1回目は、重要度Ⅰ【戦略的項目】の「ブランディング設計」のチェック項目の活用ポイントになります。

「ブランディング設計」項目は、EC事業における最上位の「戦略」として位置づけられます。「ブランディング」と聞くと、ロゴデザインや綺麗な写真をイメージされるかもしれません。しかし、EC経営視点におけるブランディングとは「商品販売を通してブランド力を高め、ファンを増やしていくための設計図」となります。


【組織・戦略の整合性】を確認する項目として

1.ECを通してブランドの成長を実現するミッション・ビジョンが設定されているか

2.企業としてEC事業の位置づけやECサイトの目的が明確になっているか3.企業全体のマーケティング戦略との整合性が取れているか

 4.企業内でEC事業の位置づけが明確であり、人的リソース・投資予算が確保されているか

1〜4の項目は「会社全体の方向性と合わせる準備項目」です。EC担当者が最善を尽くしても劇的な成長を実現することは簡単ではありません。全社的なバックアップ体制と、ECが果たすべき役割(売上利益なのか、テストマーケティングなのか、ブランディングなのか)の合意形成が不可欠となりますので、この項目をベースに確認していきます。


【顧客への提供価値】を確認する項目として

5.ブランドとして何を伝えたいかが設定されているか

6.ブランドとしてターゲット設定ができているか7.ブランドとして競合企業を分析し、差別化要素を明確にしているか

8.ブランド発信・認知の定義が明文化されているか

5〜8の項目は「選ばれる理由」の言語化となります。機能や価格だけの競争は消耗戦を招きます。「なぜこのブランドが存在するのか」というストーリーが、顧客の感情を動かし、リピート購入を実現しながらファンを生み出す源泉となっていきます。


【ブランド想起と指名検索】を確認する項目として

9.EC販売用の「ブランド指名ワード」「商品指名ワード」が決めているか10.第一想起を獲得する「〇〇〇〇といえば、公式オンラインショップ」を決めているか

11.ブランド指名・商品指名につながる独自のハッシュタグを決めているか

9〜11の項目は、戦略を戦術(集客)に落とし込むための要素となります。広告に依存せず、自然検索やSNS経由で流入を得るためには、「何という言葉で検索・発見・認知されたいか」をこちら側が意図的に設計する必要があります。「〇〇〇〇といえば、このブランド」という第一想起を獲得し、継続的に指名検索数を増やしていくことがECサイトを起点にしたブランディングの重要テーマになります。


以上が「ブランディング設計」の解説となりますが、すべての項目にチェックを入れられる企業は多くは無いと思います。しかし、チェックが入らなかった項目が、御社のEC事業が抱える課題であり、同時に「伸び代」にもなります。
EC事業は、目の前の課題に対する対策も大事ですが、こうした成長の基盤となる戦略設計の上に成り立ちます。
1年後、3年後の飛躍的な成長のために、まずはこの「ブランディング設計」のチェックリストをベースに、自社の現在地を確認することから始めてみてください。

■筆者プロフィール
株式会社 久(きゅう)
ブランドEC成長支援室 室長 兼 EC経営コンサルタント
立川 哲夫(たつかわ てつお)

ECマーケティング×企業経営に精通したスペシャリスト
リテール業界に10年従事後、15年以上にわたるECビジネス推進およびECマーケティング支援経験を持つコンサルタント。多様な業界・企業規模における経営課題を整理し、ビジネスモデルの構築、戦略立案、実行支援に携わる。特に、EC・O2O・デジタルマーケティング領域での専門性が高く、EC事業を起点にして企業のビジネス拡大を実現。

大手EC総合支援企業において、10年以上にわたり経営幹部として新規事業開発や事業拡大に従事し、企業のブランディングやマーケティング統括を担当。執行役員として東証グロース市場への上場も経験。その後、外資系コンサルティングファームにてECビジネスの変革支援にも関わり、企業変革期における業務推進や社内体制整備、人材育成にも関与し、総合的な経営支援スキルを磨く。5冊のECマーケティング関連書籍の執筆・編集に関わり、EC事業戦略・売上アップの法則を凝縮し、知見の普及にも貢献。 その他、日経主催の講演会・ECセミナー講師、日経クロストレンド・月刊ネット販売・日本ネット経済新聞などへの寄稿実績も多数。