本コラムでは、株式会社久のブランドEC成長支援室が開発・整理した、ECビジネスおよびECマーケティングにおける変革と成長を実現するための『5つの戦略と7つの戦術』フレームワークと連動したチェック項目を提示しながら、活用ポイントを解説していきます。
戦略(Strategy)は目的達成のための大枠の方針・方向性を示し、通常は1年〜3年先を見据えた項目になります。一方、戦術(Tactics)は戦略を実現するための具体的な手段であり、3か月〜1年程度で実行可能な項目を指します。
【戦略】④システム選定・データ基盤構築
4回目は、重要度Ⅳ【戦略的項目】の「システム選定・データ基盤構築」のチェック項目の活用ポイントになります。

多くの企業が「安さ」や「多機能さ」だけでシステムを選びがちですが、本来の目的は「事業の成長を止めないこと」と「意思決定の精度を上げること」にあります。
【戦略への適合性と拡張性】を確認する項目として
| 27.ブランディング設計・ECサイトの目的に沿ったECシステムを選定しているか
28.ECシステムが戦略や事業拡大に対応できる拡張性・柔軟性を持っているか 29.多様な決済手段が導入できるシステムとなっているか 30.ECシステムと連携するツールが豊富で、利用実績が豊富にあるか |
27~30の項目は「未来への投資」です。売上が急拡大した際にシステムが耐えられなくなったり、やりたい施策がシステムの制約で実現できなかったりすることは、ブランドにとって大きな機会損失です。自社の目指すブランド体験(決済の利便性や外部ツールとの親和性など)を、数年先の規模感まで見越して支えきれるかという視点が不可欠です。
【データ連携と効率運営】を確認する項目として
| 31.複数の販売チャネル・実店舗との在庫・受注・顧客情報の連携ができる状態か
32.自社の基幹システムや会計システムとの連携ができているか 33.CRM(顧客育成)を行うためのシステム・ツール連携ができているか |
31~33の項目は「情報の流れ」を整える対応です。EC、モール、実店舗でデータが分断されていると、在庫の不一致や顧客対応の漏れが発生し、ブランドの信頼を損ねます。
各システムがシームレスに連携し、バックヤード業務が自動化・効率化されている状態こそが、スタッフが「ファン作りのためのクリエイティブな仕事」に集中できる環境を生み出します。
【データ活用とガバナンス】を確認する項目として
| 34.WEB広告・SNSなどのマーケティングデータを分析・活用するシステムがあるか
35.各種分析ツールの設定と分析データの統合(ダッシュボード化)ができているか 36.自社スタッフの投稿やレビューなどUGCを収集・管理するツールを導入しているか 37.セキュリティ対応、バックアップ、障害時の対応方針が確認できているか 38.データガバナンス(個人情報・顧客データの取扱いルール)が定義されているか |
34〜38の項目は「攻めと守りの両立」です。収集したデータをダッシュボードで可視化し、次の施策に即座に反映させる仕組みは「攻め」の要です。
一方で、セキュリティやデータガバナンスの欠如は、一瞬でブランドを崩壊させるリスクを孕んでいます。信頼されるブランドであるために、顧客の大切な情報を守り抜くという「守り」の基盤が、今のEC経営には強く求められています。
以上が「システム選定・データ基盤構築」の解説となります。
システムやデータ基盤は一度導入・構築すると容易に変更できません。だからこそ、「今の課題」だけでなく「未来のビジョン」をどこまで想定できるかが勝負となることを念頭に、このチェック項目を活用ください。
■筆者プロフィール
株式会社 久(きゅう)
ブランドEC成長支援室 室長 兼 EC経営コンサルタント
立川 哲夫(たつかわ てつお)
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ECマーケティング×企業経営に精通したスペシャリスト
リテール業界に10年従事後、15年以上にわたるECビジネス推進およびECマーケティング支援経験を持つコンサルタント。多様な業界・企業規模における経営課題を整理し、ビジネスモデルの構築、戦略立案、実行支援に携わる。特に、EC・O2O・デジタルマーケティング領域での専門性が高く、EC事業を起点にして企業のビジネス拡大を実現。
大手EC総合支援企業において、10年以上にわたり経営幹部として新規事業開発や事業拡大に従事し、企業のブランディングやマーケティング統括を担当。執行役員として東証グロース市場への上場も経験。その後、外資系コンサルティングファームにてECビジネスの変革支援にも関わり、企業変革期における業務推進や社内体制整備、人材育成にも関与し、総合的な経営支援スキルを磨く。5冊のECマーケティング関連書籍の執筆・編集に関わり、EC事業戦略・売上アップの法則を凝縮し、知見の普及にも貢献。 その他、日経主催の講演会・ECセミナー講師、日経クロストレンド・月刊ネット販売・日本ネット経済新聞などへの寄稿実績も多数。