本コラムでは、株式会社久のブランドEC成長支援室が開発・整理した、ECビジネスおよびECマーケティングにおける変革と成長を実現するための『5つの戦略と7つの戦術』フレームワークと連動したチェック項目を提示しながら、活用ポイントを解説していきます。
戦略(Strategy)は目的達成のための大枠の方針・方向性を示し、通常は1年〜3年先を見据えた項目になります。一方、戦術(Tactics)は戦略を実現するための具体的な手段であり、3か月〜1年程度で実行可能な項目を指します。
【戦略】③CRM・ファン育成設計
3回目は、重要度Ⅱ【戦略的項目】の「CRM・ファン育成設計」のチェック項目の活用ポイントになります。

ECにおけるCRM(顧客関係管理)は、単なるメルマガやLINEの配信ではありません。顧客一人ひとりと「どのような関係を築きたいか」という意思を仕組み化することです。
【数値的指標と分析の土台】を確認する項目として
| 20. ロイヤル顧客・会員ランクなどの基準が決まっているか
21. 新規獲得コスト(CPA)目標が設定されているか 22. RFM分析ができる基準数値を設定しているか |
20、21、22の項目は「現状をデータで捉えて基準を作る」です。
CRMを成功させるには、まず「誰が自社にとっての大切な顧客(ロイヤル顧客)なのか」を定義しなければなりません。また、新規獲得コスト(CPA)だけを見るのではなく、その後のリピート率を含めた投資対効果を判断するための基準数値が必要です。データに基づいた現状把握が、感情論ではないファン作りの第一歩となります。
【継続購入のシナリオとLTV設計】を確認する項目として
| 23. ファン化のための顧客接点を継続的に作るコミュニケーション設計ができているか
24. 新規獲得から2回目・3回目購入までの継続購入設計ができているか 25. 再現性のある顧客獲得・育成モデル(LTV設計)が確立されているか |
20、23、24の項目は「CRMによる成長の設計図」です。
初回の購入はあくまで「お試し」であり、ブランドの真価が問われるのは2回目、3回目の購入時です。偶然の再購入を待つのではなく、顧客がブランドを好きになる「体験のステップ」を意図的に設計する必要があります。この流れが再現性を持って回り始めると、LTV(顧客生涯価値)が最大化され、広告費に頼りすぎない健全な成長体質へと変わっていきます。
【ロイヤル顧客への特別体験】を確認する項目として
| 26. ロイヤル顧客(会員)向けに購入体験を高める設計ができているか |
26の項目は「ファンの特別化」です。
単なる割引クーポンだけでなく、限定商品の優先案内や、ブランドの裏側を知れる特別な情報、ギフトのような梱包体験など、ロイヤル顧客が「このブランドを選び続けて良かった」と誇りに思える設計や仕掛けが必要です。
機能的な価値を超え、情緒的な価値を提供すること。これが、競合他社にスイッチされない防御策となります。
以上が「CRM・ファン育成設計」項目の解説となります。
CRMは「一度作れば終わり」ではありません。顧客が喜ぶ・求めることを推測し、数値を追いながら、その設計図をアップデートしていく必要があります。
「売って終わり」のECから、「つながり続ける」ブランドに成長させていくために、このチェック項目を活用ください。
■筆者プロフィール
株式会社 久(きゅう)
ブランドEC成長支援室 室長 兼 EC経営コンサルタント
立川 哲夫(たつかわ てつお)
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ECマーケティング×企業経営に精通したスペシャリスト
リテール業界に10年従事後、15年以上にわたるECビジネス推進およびECマーケティング支援経験を持つコンサルタント。多様な業界・企業規模における経営課題を整理し、ビジネスモデルの構築、戦略立案、実行支援に携わる。特に、EC・O2O・デジタルマーケティング領域での専門性が高く、EC事業を起点にして企業のビジネス拡大を実現。
大手EC総合支援企業において、10年以上にわたり経営幹部として新規事業開発や事業拡大に従事し、企業のブランディングやマーケティング統括を担当。執行役員として東証グロース市場への上場も経験。その後、外資系コンサルティングファームにてECビジネスの変革支援にも関わり、企業変革期における業務推進や社内体制整備、人材育成にも関与し、総合的な経営支援スキルを磨く。5冊のECマーケティング関連書籍の執筆・編集に関わり、EC事業戦略・売上アップの法則を凝縮し、知見の普及にも貢献。 その他、日経主催の講演会・ECセミナー講師、日経クロストレンド・月刊ネット販売・日本ネット経済新聞などへの寄稿実績も多数。