【急にBtoB EC担当になったら読む記事】失敗しない「卸売りサイト」立ち上げ術

受発注DX BtoB EC

「社内のFAXや電話での受発注業務をDX化したい」
「来期から卸売りサイト(BtoB EC)を立ち上げてほしい」
突然、こんなプロジェクトの担当に指名されて、頭を抱えていませんか?

今回は、『BtoC EC(個人向け)』と『BtoB EC(法人向け)』の違いから、現場でぶつかる「壁」の乗り越え方やプロジェクトの進め方まで、ECディレクターの目線で分かりやすく解説します!

そもそも何が違う?『BtoC EC』と『BtoB EC』の「違い」

まず、「BtoC(個人向け)ECサイトとBtoB(法人向け)ECサイトは、まったくの別物」ということです。BtoBには法人取引特有の商習慣が存在します。

取引先ごとに異なる「価格・掛率(個社別価格)」

A社には定価の60%、B社には70%で販売する、といった「企業ごとの販売価格(個社別価格)」や「取引先ごとの閲覧可能商品」の設定が必要になります。

決済の基本は「掛け売り(請求書払い・売掛)」

クレジットカード決済等だけでなく、法人間取引でおなじみの「月末締め翌月末払い」などの売掛決済(掛け売り/請求書払い)への対応も必要です。

一般ユーザーに見せない「クローズド(会員制)設計」

卸価格や取扱商品は一般の消費者に非公開にすることが多いため、審査を通った会員(法人)しか価格が見られない、またはログインしないとサイト自体が見られない仕組みが必要です。

立ち上げ現場でぶつかる!BtoB ECの「壁(あるある)」

BtoB ECプロジェクトが進まなくなる原因の多くは、システム選び以前に「社内・取引先との調整(人間関係や運用)」にあります。現場でよく起こる3つの壁をご紹介します。

壁1:社内各部署の独自ルールがわからない

複雑な取引条件や各部署の独自ルールやフロー等がマニュアル化・可視化されていない。特にメーカーにその傾向が多い印象があります。

 現場での解決策:EC化は、システムの操作に慣れるまで「面倒」と思われることがあります。「FAX入力や電話対応などの雑務を減らし、手が回らなかった業務に集中させるためのツール」だと伝え、理解と協力を得て社内各部署にヒアリングし、独自のルールを可視化することが大切です。

壁2:取引先が「FAXの方が楽」とWEBを使ってくれない

せっかくサイトを作っても「昔からのやり方(電話・FAX)の方が楽だから」と、既存の取引先がWEB注文へ移行してくれないパターンです。

現場での解決策: 「WEBから注文するとポイントが付く」「在庫状況がリアルタイムでわかる」「24時間いつでも発注できる」といった取引先側のメリットを提示し、初期の丁寧な誘導サポートを行います。

壁3:要件を詰め込みすぎて予算が跳ね上がる

「既存の基幹システムと完全にリアルタイム自動連携させたい」「複雑な個別条件をすべてシステム化したい」と最初から全ての要件を叶えようとすると、膨大な開発費になりプロジェクトが頓挫する場合があります。

現場での解決策: まずは「手書きFAXの入力ミス削減と電話対応の削減」など、急いで改善が必要な箇所から着手していくと優先度をつけやすくなります。

担当者がパニックにならないための「BtoB EC推進 4ステップ」

では、担当者として具体的にどうプロジェクトを進めていけばよいのでしょうか?現場でおすすめしている4ステップをご紹介します。

Step 1:自社の「商習慣(独自ルール)」を洗い出す

現在の卸売り業務がどのように回っているかをヒアリングします。「取引先は何社あるか」「価格パターンは何種類あるか」「最低注文数量(MOQ)はあるか」「納期や送料のルールは?」といった項目をExcelなどに整理しましょう。

Step 2:最初から100点を目指さず「スモールスタート」する

いきなり全取引先・全商品をWEB化しようとするとパンクします。「まずは手伝ってくれそうな親しい取引先5社だけでテスト運用する」「注文頻度の高い定番商品だけを先行してWEB化する」といった形で、小さく始めて改善を繰り返すのが失敗しない近道です。

Step 3:自社のフェーズに合った「システム(カート)」を選ぶ

自社の規模や予算に合わせてシステムを選びます。

  • SaaS型BtoB専用カート(Bカート、EBISUMART Liteなど):コストを抑えて短期間で立ち上げたい場合に向いています。
  • BtoCカートのBtoB拡張機能(Shopify BtoB機能 など):ブランディングやデザイン性も重視しつつ、BtoB取引も一本化したい場合に向いています。

Step 4:取引先への「移行サポート」を丁寧に行う

サイトが完成したら、取引先向けに簡単な「ご利用マニュアル」を作成したり、移行初期に手厚いフォローを行いましょう。

急に担当を任されると覚えることが多くて不安に感じるかもしれません。そんな時は、ECサイトの設計や構築を依頼した弊社のようなEC支援会社の担当ディレクターがサポートしますので、相談しながらひとつひとつ進めていけば大丈夫です!

以上が、失敗しない「卸売りサイト」立ち上げポイントです。
BtoB ECの構築が無事に完了すれば、下記のような絶大なメリットが待っています。

  • 手書きFAXの読み間違いや入力ミスがゼロになる
  • 受発注業務にかかっていた時間が大幅に削減される
  • 24時間受注できるようになり売上アップに繋がる

会社にとっても、担当者様にとっても非常にやりがいのあるプロジェクトになります。

〈筆者プロフィール〉
ECディレクター TOMO

EC業界で15年以上のディレクション経験を持つECディレクター。自社公式ECを中心に新規ECサイト立ち上げ、ECサイトリニューアルや、サイト運営などEC領域全般に携わる。現在は、BtoB ECサイトのパッケージプロジェクトや、自社BtoB ECのスタートアップ事業を担当。コラムでは、複数のカートシステムにてECサイト構築・運営経験から「あるある」な悩みの解決案や、ECディレクター目線での気になるトピックスをお届けします。