「BtoB ECサイト(Web受発注システム)を導入すれば、FAXや電話での注文が減り、業務が劇的にラクになるはず!」そう期待してシステムをオープンさせたものの、「イレギュラー対応が多くて結局手作業が減らない」と頭を悩ませているEC担当者は少なくありません。
BtoB ECは、BtoCのように「サイトを公開して広告をかければ売れる」というものではなく、既存の取引先や社内の関係部署を巻き込んだ「業務フローの変革(DX)」が一番のポイントです。
BtoB EC導入後に直面する落とし穴
長年、FAXや電話での発注に慣れ親しんできた取引先の中には、新しいWebシステムを「面倒」に感じる方もいらっしゃいます。単にサイトを公開して「これからはWebから注文してください」とアナウンスするだけでは、取引先が従来のやり方を変えるには不十分です。
「取引先の利用を推進するためのアプローチ」と「社内の新しい業務フローの構築」をして煩雑な受注業務から脱却しましょう!
オープン直後につまずきやすい「運用業務」
具体的にどのような業務でつまずくのでしょうか。現場でよく起こる「おもな課題」をご紹介します。
1. 取引先のWeb移行推進(アナログから抜け出せない問題)
「ログイン方法が分からない」「いつものFAX用紙の方が早い」と取引先から敬遠され、Web経由の受注率が一向に上がらないケースです。電話での問い合わせや、結局営業担当者が代理入力する手間が発生し、現場の負担がさらに増えてしまいます。
2.取引先別の条件・商品マスタ管理(条件の不整合・更新漏れ)
BtoB特有の「取引先ごとの掛け率(割引率)」「企業限定商品」「ロット単位での販売」など、複雑な取引条件をシステム側で正しく管理・更新する業務です。新商品の追加や価格改定の際、基幹システムとECサイトのマスタデータにズレが生じ、誤った価格で受注してしまうといったトラブルが起こりがちです。
3.請求・与信管理とイレギュラー対応(BtoB特有の決済フロー)
「掛け払い(締め請求)」の入金確認や消込作業、与信枠をオーバーしてしまった際の受注ストップ対応などです。また、BtoBならではの「分納依頼」「納期前倒し(急ぎ注文)」といったイレギュラーな要望がシステム上で処理しきれず、結局個別対応に追われることになります。
4.社内(営業部・バックオフィス)のオペレーション定着
営業部門が「得意先には今まで通り自分が電話で聞くから」とWeb化に非協力的だったり、バックオフィス側で「ECに入った注文を基幹システムへ手作業で二重入力する」という無駄なオペレーションが残ってしまったりする問題です。社内の足並みを揃えないとプロジェクトが進みません。
取引先と社内をスムーズに定着させる「運用移行」
上記のようなつまずきを乗り越えてBtoB ECを確実に定着させるために3ステップで気軽にクリアしていきましょう!
■ STEP 1:重要顧客・ITリテラシーの高い顧客から「段階的」に移行する
全取引先へ一斉に切り替えを案内するのはハイリスクです。
まずは、関係性が深く、Webへの理解がありそうな数社をテスト的にピックアップし、先行利用してもらいましょう。そこで出た不満やつまずきポイント(使いづらい等)を改善してから、全体へ展開をするとスムーズです。
■ STEP 2:分厚いマニュアルはいらない。「1枚ペラ」の簡易手順書を作る
数十ページもある操作マニュアルを渡しても誰も読んでくれません。
「初回ログインの方法」「いつもの商品のリピート注文の手順」だけに絞った1枚の画像付き簡易マニュアル(PDFや紙)を作成し、営業担当者が直接レクチャーするなど、時としてアナログな活動も効果的です。
■ STEP 3:FAX・電話注文との「差」をつける
「Webから注文すればポイントが貯まる」「Web注文限定で送料が安くなる、または優先的に出荷される」など、取引先にとって明確なメリットを用意することで、自主的な移行を後押しできます。

社内リソース不足を解消する選択肢
取引先への移行アプローチに集中するためには、バックオフィス側の「手作業(二重入力や目視確認)」を極力ゼロにする必要があります。
ここで重要になるのが「外部システム連携」です。
ECサイトと、自社の基幹システム(ERP)や倉庫管理システム(WMS)の間を「データ連携ハブ(iPaaS)」などで自動連携させることで、商品マスタの更新や在庫連動、出荷データの戻し作業を大幅に自動化できます。
「社内リソースだけで運用を回すのが限界」「システム連携の専門知識がない」という場合は、無理に自社開発せず、BtoB ECの運用やシステム間連携に強い外部の伴走支援パートナーを頼るのが成功の近道です。
まとめ
BtoB ECの導入は、単なる「便利なツールの導入」ではなく、取引先と社内を巻き込んだ「業務改革(DX)」です!
- 取引先の移行は一朝一夕には進まない。段階的かつ丁寧なレクチャーが必要。
- FAX・電話からの切り替えには、取引先側にも明確なメリットを用意する。
- 社内の無駄な手作業(二重入力など)は、システム連携で自動化する。
「ECシステムを導入したが、運用に乗らず困っている」「これからBtoB ECを立ち上げるが、基幹システムとの連携や業務フローの設計に不安がある」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ専門家にご相談ください。
株式会社久(Q Inc.)では、要件定義やシステム構築はもちろん、データ連携基盤(ECコネクター®)を活用した業務効率化、さらには公開後の定着化に向けた伴走支援(ミギカタアガリ®)まで一気通貫でサポートしております。BtoB ECの運用に関するお悩みは、お気軽にお問い合わせください。
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〈筆者プロフィール〉
ECディレクター TOMO
EC業界で15年以上のディレクション経験を持つECディレクター。自社公式ECを中心に新規ECサイト立ち上げ、ECサイトリニューアルや、サイト運営などEC領域全般に携わる。現在は、BtoB ECサイトのパッケージプロジェクトや、自社BtoB ECのスタートアップ事業を担当。コラムでは、複数のカートシステムにおけるECサイト構築・運営経験から「あるある」な悩みの解決案や、ECディレクター目線での気になるトピックスをお届けします。