「ECサイト構築時に外部システムと連携をさせるかどうか…導入前に確認しておくべき注意点」(BtoB/BtoC)

BtoB EC ECカート

ECサイトの構築/リニューアルに合わせて『社内の基幹システム(ERP)[※1]や倉庫管理システム(WMS)[※2]、店舗POS[※3]とデータを自動連携させたいが、どのタイミングで準備をしたらよいか』等のご相談を頂きます。

  • 構築/リニューアルと同時に連携したい。
  • まずはECを立ち上げてから、ゆくゆくは連携したい。

結論から言えば、導入のタイミングは社内の体制やご予算に合わせて進めて問題ありません。しかし、事前に全体設計を行っておかないと、後から大規模な修正作業が発生する可能性があります。

この記事では、数々のEC構築やシステム連携(基幹・WMS等)を支援してきた現役ECディレクターの視点から、導入前に必ず確認しておくべき注意点を分かりやすく解説します。

【前提】ECサイトと外部システムを連携させるメリット・デメリット

■ 外部システム連携の主なメリット

受注業務の人的ミスと単純作業の工数削減

注文データが自動で基幹システムやWMSに流れるため、手動でのCSVダウンロード・アップロードの手間や、手入力による入力ミス・出荷ミスがなくなります。

在庫の一元管理による売り越しの防止

実店舗やその他、複数のEC店舗(Amazon・モール等)との在庫数を連動させることで、売り逃しや、過剰受注を最小限に抑えられます。

顧客データ・購買履歴の一元化

店舗とECの会員情報やポイント、購買履歴を統合することで、オムニチャネルな顧客体験(OMO)[※4]を提供できるようになります。

■ 外部システム連携のデメリット

初期開発コストおよびランニングコストの増大

独自の個別開発を行ったり、売上が伸びる前の段階で高額なシステムへ先行投資したりすると、費用負担が大きくなります。

システム全体の複雑化とエラー対応の発生

独自開発の場合、外部システムがアップデートされる度に改修や追加開発が必要になります。また、セキュリティの問題や、ネットワーク障害が起きた場合の復旧作業に追われることになります。

自社ECで連携するデータの種類はなにがある?

自社で利用しているデータやシステムは把握していますか?パッと思い浮かべるだけでもたくさんあるかと思います。

  • 基幹システム
  • 営業管理システム
  • 受注管理システム
  • 発注システム
  • 配送業者
  • 倉庫システム
  • 経理システム
  • POS
  • ポイント管理
  • MAツール※5(SNSやメルマガ等のマーケティングツール)

■連携したいシステムを社内各所に確認

EC事業領域だけなのか、営業部との連携が必要か、生産管理、在庫の管理、どこまで自動でつなげるか、まずは社内で話し合って要件をまとめてみてください。

■連携方法の確認

次に、連携方法の確認です。

既存のシステムが、新しく構築・導入するECシステムと『相互に接続できるかどうか』がポイントになります。カスタマーサポートや担当営業に問い合わせをして、事前に仕様を確認するとスムーズです。

  • 自社オリジナルシステム:API連携※6ができるかどうか?追加開発にいくらかかるか?
  • SaaS※7(クラウド型の月額/年額利用できるサービス):API連携可能か?開発が必要か?
  • オンプレミス※8(パッケージソフト):API連携可能か?開発が必要か?連携する方法があるかどうか?

データの「マスター管理」整備の大切さ

システム連携で最も重要なのは、『どのデータが正(マスター)なのか』というルールを明確に定義することです。

『ECサイト』、『基幹システム』、『WMS』等、複数のシステムに同じデータ(商品・在庫・顧客・注文)が存在するため、「どちらのデータを正しいものとして上書きするか」を決めておかないと、データが先祖返りしたり、整合性がとれず大変な思いをします。特にポイントになるのは、下記3つです。

商品マスター(商品名・価格・型番など)

原則:基幹システム(販売管理)を「正」とし、ECサイトへ一方通行で連携する。
複数ある販売チャネル毎に商品番号が違うと、販売した商品・在庫数の連携ができなくなります。どうしても揃えられない場合は、OMS(受注管理システム)やiPaaS※9(データ連携システム)を利用してデータ整理することが可能です。

在庫データ(現在庫・引き当て可能数)

原則:WMS(倉庫)または基幹システムを「正」とする。
※メーカーEC、仕入れECなど業種で変わってきますので、しっかり決めましょう。

注文・出荷データ

原則:ECサイトで受注発生(ECが正)→ 基幹・WMSへ連携 → WMSで出荷完了・配送追跡番号付与 → ECサイトへ出荷完了データを返し、顧客へメール送信。

ランニングコスト

拡張性を考慮せず、その場しのぎで様々なツールを継ぎ足して連携させると、毎月のランニングコストが肥大化してしまいます。また、エラーが起きたときに「誰に聞いたらいいのか分からない!」等の問題も発生します。

■ECサイトは作ったら終わりではない。常にコストが発生する。

外部連携を組む際、初期開発費だけでなく、以下の継続的なコストも発生します。

  • ECカートの月額利用料
  • ECカートのオプション利用料
  • API利用料
  • データ連携ハブの月額利用料
  • 基幹システム側の改修費用/API解放費用

 ※基幹システム側のベンダー見積もりが想像以上に高額になるケースも

自社で古い基幹システムを抱えている場合は、基幹自体を改修するのではなく、間にデータ変換ハブ(iPaaS:例『ECコネクター®』等)やCSV自動連携を挟むことで、基幹改修費を大幅に抑えられることがあります。

まとめ

外部システム連携は、EC事業をスケールさせる上で非常に強力な武器ですが、「とりあえず最初から全自動で完全連携」を目指すと、高確率で予算オーバーや運用の混乱を招きます。

失敗しないための鉄則は、以下の4ステップです。

  1. 自社の業務フローを棚卸しし、「手作業で限界が来ている部分」を特定する。
  2. 自社で利用しているツールが連携できるか把握する。
  3. データの「マスター」情報を決めて設計する。
  4. データ連携ハブ(iPaaS)などを活用し、将来のシステム変更にも耐えられる柔軟な構成にしておく。

「ECサイトを作りたい。システム連携もしたいが、自社だけで進めるには手一杯」

「費用を抑えつつ、手作業のミスを減らすシステム構成を提案してほしい」

といったお悩みやご質問がございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。BtoC EC、BtoB EC問わず、株式会社久(Q Inc.)では、要件定義からカート選定、データ連携基盤(ECコネクター®等)の構築・運用まで、貴社のEC事業の成功をフルサポート・伴走いたします。

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〈筆者プロフィール〉
ECディレクター TOMO

EC業界で15年以上のディレクション経験を持つECディレクター。自社公式ECを中心に新規ECサイト立ち上げ、ECサイトリニューアルや、サイト運営などEC領域全般に携わる。現在は、BtoB ECサイトのパッケージプロジェクトや、自社BtoB ECのスタートアップ事業を担当。コラムでは、複数のカートシステムにおけるECサイト構築・運営経験から「あるある」な悩みの解決案や、ECディレクター目線での気になるトピックスをお届けします。

〈用語集〉
※1 社内の基幹システム(ERP):受発注・売上・在庫・会計など、会社経営に必要な全データを一括管理するシステム。
※2 倉庫管理システム(WMS):倉庫内での商品の入荷・検品・保管・出荷・棚卸しなど、物流業務を管理するためのシステムです。
※3 店舗POS:実店舗のレジで「いつ・何が・いくらで・何個売れたか」という販売実績データをリアルタイムに記録・管理するシステムです。
※4 オムニチャネルな顧客体験(OMO):実店舗とECサイトの境界をなくし、オンラインとオフラインを融合させて「ポイントの共通化」や「Webで注文して店舗で受け取る」などの便利な購買体験を提供する仕組みです。
※5 MAツール(SNSやメルマガ等のマーケティングツール):顧客の購入履歴やサイト閲覧行動に合わせて、最適なタイミングでメルマガやLINEなどを自動配信し、購入やファン化を促進するツールです。
※6 API連携:異なるシステム同士をプログラムで接続し、手動のデータ移行を挟まずに自動でデータをやり取り(同期)させる仕組みです。
※7 SaaS(クラウド型の月額/年額利用できるサービス):インターネット経由で利用する月額・年額制のソフトウェアです。自社でサーバーを持たずにすぐ導入でき、常に最新版へ自動更新されます。
※8 オンプレミス(パッケージソフト):自社内に専用のサーバーや設備を設置し、システムをゼロから構築・運用する方式です。
※9 iPaaS(データ連携システム):複数のSaaSや社内システム(基幹システム等)を、難しいプログラミングをせずにクラウド上で一本に繋ぎ込み、データを一括連携させる「ハブ」となるサービスです。弊社が提供している「ECコネクター®」はこのツールです。